美術 琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術=石川健次
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時空を隔てた等質と異質 関わり深い東西名作を同時体験
印象派が浮世絵から影響を受けたことは広く知られている。19世紀末、ヨーロッパを席巻したジャポニスムの流行のなかで、モネたち印象派の面々は日本の浮世絵に熱狂し、そこに表現されていた鮮やかな色彩は印象派が新たな芸術を創造する源泉ともなった。だが本展が掲げるタイトルは「浮世絵と印象派」ではない。「琳派(りんぱ)と印象派」だ。「従来にない斬新な試み」(本展図録)に興味をそそられないはずはないだろう。
図版は17世紀初めに京都で活躍した琳派の巨匠、俵屋宗達(たわらやそうたつ)の国宝《風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)》である。日本美術史上、代表格と言っていいこの作品を含めて幾多の名作を生んだ琳派は、日本の都であった京都で宗達や18世紀初めの尾形光琳(こうりん)らによってはぐくまれ、19世紀初めに酒井抱一(ほういつ)らによって将軍お膝元の江戸に継承された「装飾的な美感を核として発展した…
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週刊エコノミスト
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