教養・歴史鎌田浩毅の役に立つ地学

ノーベル物理学賞に決定 ブラックホール研究が結実/35 

超巨大ブラックホールとそのごく近傍で周回する熱いガスの塊の想像図 慶応義塾大学提供
超巨大ブラックホールとそのごく近傍で周回する熱いガスの塊の想像図 慶応義塾大学提供

 2020年のノーベル物理学賞に「ブラックホール」研究が選ばれ、英オックスフォード大のロジャー・ペンローズ名誉教授、独マックスプランク地球外物理学研究所のラインハルト・ゲンツェル氏、米カリフォルニア大ロサンゼルス校のアンドレア・ゲズ教授の3人に授与された。

 ブラックホールとは宇宙に存在する天体の名前で、物理学の主要なテーマであると同時に、宇宙の起源に関わるので第一級の地学の話題でもある。英語に直訳すると「黒い穴」で、重力が大きすぎて中から光さえ逃げ出すことができない。光が出られないとは天体が真っ黒にしか見えないことを意味し、ブラックホールと名付けられた。

 受賞した筆頭のペンローズ博士は、ブラックホールがアインシュタインの提唱した一般相対性理論で説明できることを、自分の開発した数学によって証明した。また、ゲンツェル博士とゲズ博士は、地球を含む天の川銀河の中心にある明るい領域「いて座Aスター」の周りに高速で回っている星を観測し、いて座Aスターの中心に太陽の質量の400万倍にもなる極めて重いブラックホールがあることを発見した。

残り776文字(全文1243文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事