資源・エネルギー鎌田浩毅の役に立つ地学

ブラックホールの撮影成功 “フィクション”を覆した快挙/36 

世界で初めて撮影に成功した楕円銀河M87のブラックホールの影の画像 国立天文台など提供
世界で初めて撮影に成功した楕円銀河M87のブラックホールの影の画像 国立天文台など提供

 2019年の春、宇宙にあるブラックホールの写真が世界で初めて撮影されたことが大きな話題となった。世界8カ所の電波望遠鏡をつないで地球サイズの巨大な望遠鏡を作り、楕円(だえん)銀河「M87」のブラックホールを国立天文台などの国際共同研究で撮影したのである。

 宇宙空間には巨大な重力を持つ天体が存在し、あまりにも重力が強いため光でさえも外に出られない。光が地球に到達しない、つまり観測しても真っ黒で見えないことからブラックホールと呼ばれるようになった。さらに、天体から出ようとした光がすべて強力な重力で戻されるため、宇宙空間にどれくらいブラックホールがあるのかは長い間の謎となっていた。

 宇宙空間で光を放つ大きな恒星は、質量が大きすぎるため自らを支えきれず潰れてしまう。こうした巨星のその後について、物理学者の間では長く「ブラックホールになる」という考えと、「ブラックホールはできない」という考えとの間で真っ二つに割れていた。しかし、アインシュタインの一般相対性理論によれば、強力な重力を持つブラックホールは光さえ出さないため、実在するかどうか確かめようがなかったのである。

残り756文字(全文1242文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事