ブラックホールの撮影成功 “フィクション”を覆した快挙/36
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2019年の春、宇宙にあるブラックホールの写真が世界で初めて撮影されたことが大きな話題となった。世界8カ所の電波望遠鏡をつないで地球サイズの巨大な望遠鏡を作り、楕円(だえん)銀河「M87」のブラックホールを国立天文台などの国際共同研究で撮影したのである。
宇宙空間には巨大な重力を持つ天体が存在し、あまりにも重力が強いため光でさえも外に出られない。光が地球に到達しない、つまり観測しても真っ黒で見えないことからブラックホールと呼ばれるようになった。さらに、天体から出ようとした光がすべて強力な重力で戻されるため、宇宙空間にどれくらいブラックホールがあるのかは長い間の謎となっていた。
宇宙空間で光を放つ大きな恒星は、質量が大きすぎるため自らを支えきれず潰れてしまう。こうした巨星のその後について、物理学者の間では長く「ブラックホールになる」という考えと、「ブラックホールはできない」という考えとの間で真っ二つに割れていた。しかし、アインシュタインの一般相対性理論によれば、強力な重力を持つブラックホールは光さえ出さないため、実在するかどうか確かめようがなかったのである。
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週刊エコノミスト
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