舞台 本朝廿四孝 十種香 大胆な行動力で魅せる八重垣姫 対称構造の舞台で堪能=小玉祥子
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歌舞伎に登場するお姫様役の中で、最も難役とされるのが、「本朝廿四孝(十種香)」の八重垣姫、「鎌倉三代記」の時姫、「祇園祭礼信仰記(金閣寺)」の雪姫で、「三姫」と総称される。2月の歌舞伎座では、そのひとつの「十種香」が中村魁春の八重垣姫により上演される。魁春の八重垣姫は2004年以来だ。
戦国時代の武田信玄、長尾(上杉)謙信の争いに題材を得て、明和3(1766)年に人形浄瑠璃で初演された。全五段で作者は「妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)」なども手がけた近松半二。「十種香」は全段の中で最も人気のある場面で、四段目後半部分にあたる。
舞台は謙信の館。謙信の娘、八重垣姫は信玄の息子で婚約者の勝頼が切腹して亡くなったと聞き、画像の前で回向(えこう)(冥福を祈ること)をしている。そこに簑作という名の花作りとして館に入り込んだ勝頼が現れる。死んだ勝頼はにせもので、簑作こそが本物の勝頼であった。八重垣姫は画像とそっくりの簑作に心を奪われ、腰元の濡衣に仲を取り持ってくれと頼む。濡衣は武田家の家宝で、今は長尾家にある兜を盗み出してくれるな…
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週刊エコノミスト
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