教養・歴史書評

中国史理解に格好の素材 女傑も多い歴史ドラマ=加藤徹

 テレビの歴史ドラマはあなどれない。日本人の日本史に対するイメージは、大河ドラマや時代劇の影響が大きい。織田信長も、昭和・平成のドラマでは合理的な革新者として描かれたが、令和の「麒麟がくる」(NHK)では、近年の歴史学の研究成果を反映し、帝を慕い朝廷の仲介に頼る中世的性格が強調された。

 中国でも、ドラマは歴史観の変化を敏感に映す鏡だ。共同通信は1月18日、「中国、始皇帝ドラマが物議 『暴君礼賛』に懸念の声」というニュースを配信した。国営中央テレビの歴史ドラマ「大秦賦」は、激しい言論弾圧を行い強権政治で中国の統一を維持した始皇帝を、英雄的に描く。これを「歴史の美化」「習近平指導部による集権を正当化する狙いではないか」と懸念する声もある。

 現代中国の庶民は中国史をどう理解しているのか。政府はどう宣伝しようとしているのか。中国の歴史ドラマを知る必要がある。

残り553文字(全文933文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事