小説 高橋是清 第131話 非募債主義=板谷敏彦
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中華民国への「対華二十一カ条要求」は今日にも続く反日感情を引き起こし、英米の反日不信に波及する。日本国内では中国権益拡張の世論が高まっている。
大正4(1915)年8月10日、大隈重信内閣は閣僚を入れ替えて再出発した。
欧州大戦も開戦から早1年である。ロシアや英国から軍需品の発注があった。また交戦各国が軍需品の生産に傾斜すると、輸出していた国々に対する商品供給が途絶えた。そこに日本製品が進出するようになると、日本の貿易収支は黒字に転じて、正貨は増加傾向を見せていた。
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週刊エコノミスト
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