教養・歴史書評

“城めぐり”を面白く  「比較城郭考古学」の成果=今谷明

     城郭といえば戦国時代。もちろん古代や近代にも城郭はあるが、一般には戦国期の防御施設を指して城郭と呼んでいる。

     評者の学生時代以前は、城郭などを研究する分野も学者もなかった。それで城といえば好事家や郷土史家が細々と手をつけているに過ぎなかったのである。

     ところが戦後、戦国大名の研究が進んでくると、城郭の重要性に注目が集まり、元来専門の歴史家や考古学者の中から、城郭の専門家が登場することになった。『城郭考古学の冒険』(幻冬舎新書、940円)の著者・千田嘉博氏は、右のような考古学から出た城郭史家の草分け的存在である。

     堅固な石垣の上に白亜の天守閣がのるといったような特殊日本的な城郭建築が出現したのは、主として西欧から鉄砲が導入されるという戦闘技術の大変化に負っている。鉄砲の実戦使用は天文17(1548)年ごろの足利義晴と三好長慶の合戦が記録に残っているが、将軍義晴の築城になる東山の中尾城は、白壁の中に礫(れき)を多く詰めた初めての城であった。それは「鉄砲への備え」だと義晴葬送の記録『万松院殿穴太記(ばんしょう…

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