教養・歴史 書評 『経済学の堕落を撃つ』 中山智香子著 講談社現代新書 1000円 2021年2月26日 『経済学の堕落を撃つ』 中山智香子著 講談社現代新書 1000円 堕落とは穏やかでないが、批判は明快だ。人間が価値を選び取りながら生きることを支えるはずの経済学が、価値観から中立を装う“科学”に変貌した点を突く。新自由主義の自由とは価値ではなく、効率的な手段に過ぎない。140年の変遷をたどるうえで軸に置いたのはカール・ポランニー。自由主義とマルクス主義の両方を摂取しつつ距離を置いた人物だ。MMT(現代貨幣理論)やピケティなど直近の議論も含め、多方面の論者を見取り図に位置づけた。(A) 前の記事 『リープフロッグ 逆転勝ちの経済学』 野口悠紀雄著 文春新書 900円 次の記事 枻出版の雑誌は他社に継承=永江朗 文字サイズ 小中大 印刷