弾劾訴追再び無罪 「トランプ的思想」は続く=吉村亮太
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議会乱入事件を巡り、反乱扇動の罪に問われたトランプ前大統領の弾劾裁判(2月9~13日)は、予想通り無罪評決をもって終了したが、前代未聞の5日間であった。
審理には証人が一人も召喚されることなく、検察官(下院の代表者)とトランプ氏側弁護士が意見陳述や証拠開示するのみ。検察・弁護側双方が、乱入者自身がインターネットにアップした議事堂内外の映像や、両党の政治家のスピーチやツイートを証拠として繰り返し投影した。弾劾訴追を行った下院議員と、陪審員役の上院議員たちはまさに乱入者たちの標的だったこともあり、当日を思い出したのか、審理中に涙を流すなど感情的になる場面もあったようだ。
共和・民主で50ずつと、議席数が拮抗(きっこう)している上院において、3分の2以上の賛同を得て有罪を確定させるのはそもそも非現実的であった。それでも民主党が、2020年のウクライナ疑惑に続いて、あえて2度目の弾劾に進んだのは、「トランプ氏への忠誠」か「民主主義」かという究極の選択を迫ることで、共和党を分断し弱体化させる胸算用があったからだ。多くの共和党の上院議員は弾劾事由の事実認定には踏み込まず…
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週刊エコノミスト
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