国際・政治ワシントンDC

弾劾訴追再び無罪 「トランプ的思想」は続く=吉村亮太

弾劾裁判の最中は軍が議会に出動するまでに(Bloomberg)
弾劾裁判の最中は軍が議会に出動するまでに(Bloomberg)

 議会乱入事件を巡り、反乱扇動の罪に問われたトランプ前大統領の弾劾裁判(2月9~13日)は、予想通り無罪評決をもって終了したが、前代未聞の5日間であった。

 審理には証人が一人も召喚されることなく、検察官(下院の代表者)とトランプ氏側弁護士が意見陳述や証拠開示するのみ。検察・弁護側双方が、乱入者自身がインターネットにアップした議事堂内外の映像や、両党の政治家のスピーチやツイートを証拠として繰り返し投影した。弾劾訴追を行った下院議員と、陪審員役の上院議員たちはまさに乱入者たちの標的だったこともあり、当日を思い出したのか、審理中に涙を流すなど感情的になる場面もあったようだ。

 共和・民主で50ずつと、議席数が拮抗(きっこう)している上院において、3分の2以上の賛同を得て有罪を確定させるのはそもそも非現実的であった。それでも民主党が、2020年のウクライナ疑惑に続いて、あえて2度目の弾劾に進んだのは、「トランプ氏への忠誠」か「民主主義」かという究極の選択を迫ることで、共和党を分断し弱体化させる胸算用があったからだ。多くの共和党の上院議員は弾劾事由の事実認定には踏み込まず…

残り834文字(全文1321文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事