東日本大震災10年/1 防災・減災に研究者人生を注ぐ/43
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東日本大震災が発生した2011年3月11日午後2時46分ごろ、私は勤務先にほど近い京都市内の駅のホームに立っていた。電車の遅れを知らせる電光掲示板に「東北地方で地震発生」と出た。とっさに私は「予想通り宮城県沖地震が来たな」と思った。宮城県沖ではマグニチュード(M)7・5規模の地震が38年ほどの間隔で規則正しく発生しており、前回1978年(M7・4)から30年以上が経過していた当時、 宮城県沖地震は99・9%の確率で起きると予測されていたからだ。
ところが、それは全くの見当違いであった。急いで帰宅してテレビをつけると、海岸の平野をなめ尽くすように押し寄せる津波の映像が飛び込んできた。想定されていた宮城県沖地震をはるかに超える、尋常ではない規模の地震が海底で起きたに違いない。ほどなくテレビ局に勤める親しい友人から電話が入った。「今、大変なことが起きている。電話ではとても無理だから、スタジオで何が起きたか直接説明する」と言って私は電話を切った…
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週刊エコノミスト
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