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小説 高橋是清 第134話 西原借款=板谷敏彦

(前号まで)

 欧州大戦は膠着(こうちゃく)する。国内では政友会と憲政会の対立が続く。加藤高明率いる憲政会が内閣不信任案を提出、政党人を排した寺内超然内閣が揺らぎ始めている。

 西暦1840年の英国によるアヘン戦争から始まった列強による中国植民地化の動きも、清朝末期からその手法に変化が出てきた。

 アヘン戦争時に列強が欲したものは、交易ができる港だった。テクノロジーの最先端は蒸気船だった。しかし折から鉄道が発達してくると、鉄道とその周辺の農業、鉱工業などの産業支配が重要になってくる。権益が点から線へと変わってきた。

 列強は狙った地域の鉄道を支配するためにそれぞれが鉄道借款を行い、中国領内の鉄道の権益を確保するようになった。日本が日露戦争でロシアから租借権を譲渡された満鉄(南満州鉄道)などはその典型である。

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