教養・歴史書評

細部の美に、愉快な能力 図鑑で楽しむ植物と動物=美村里江

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 現在、3度目の大河ドラマに徳川慶喜の養祖母・徳信院役で出演中。時代劇は全て好きだが、やはり大河は作り込みが凄(すご)いと思う。

 以前、セット内で足元を見つめ唸(うな)る監督、その横で「この時代こっちはなかったんですよ」と指し示す美術スタッフをお見かけした。何かと言えば撮影で使う植物である。現代劇以外は時代考証を経てどの道具を採用するか決めるが、植物も新種や輸入品種を考慮すると、見栄えはよくても時代設定的にふさわしくないものもあるというわけだ。

『江戸の植物図譜 花から知る江戸時代人の四季』(細川博昭著、秀和システム、3600円)。江戸時代関連の研究や書物は多く、当時は図譜も盛んに出版されフルカラーで残っている。本書の大元となった毛利梅園による図譜『梅園草木花譜』は、植物だけで17冊。写生総数1275点を数え、梅園が半生を超える30年を費やした大作だ。

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