映画 狼をさがして 加害を憎むも、自らも加害者に 日本現代史の闇に韓国作家が挑む=寺脇研
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東アジア反日武装戦線。なんとも物騒で古めかしい名称だ。若い方々は、韓国や中国の過激組織と思ってしまうのではないか。だが、これはれっきとした日本国内の日本人による活動なのである。1970年代半ば、資本主義打倒の革命を目指す爆弾闘争を行い、大企業を狙う連続爆破事件を起こした。
なぜ、メンバーである9人の若者はそんな活動に走ったのか。そして、彼らは半世紀近い後の今、己の過去をどう見ているのか。そんな秘められた歴史に迫るのが、このドキュメンタリーなのだ。コードネーム「狼」を中心に「大地の牙」「さそり」とそれぞれ自称した3チームで闘った足跡を「さがす」のがタイトルの由来でもある。
犯人たちのほとんどは75年に一斉検挙された。だが、日本赤軍による同年のクアラルンプール人質事件、77年のダッカ日航機ハイジャック事件の「超法規的措置」で3人が釈放され国外脱出、1人は取り調べ中に自殺、2人は逮捕を逃れ潜伏逃亡と波乱の展開が続く。
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