美術 テート美術館所蔵 コンスタブル展 “自然に忠実に”をモットーに火花散らした“ライバル物語”=石川健次
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今にも雨が降ってきそうだ。黒々とした雲は量感にあふれ、たっぷり水気を貯め込んでいるように見える。図版に挙げた作品だ。それほど大きくはない画面が、目に焼きついて離れない。
英国で最も有名な風景画家の一人で日本でも広く知られるジョン・コンスタブル(1776~1837)は、「後世に名を遺(のこ)したいと考える若い画家は、自然に弟子入りしなければならない」(本展図録)と述べた。“自然に忠実に”をモットーとした画家にふさわしい言葉だろう。
40代半ばを迎え、円熟した画家であったコンスタブルが、2年間にわたって100点近くの油彩による空の習作を描いたのも、“自然に忠実に”を実践する不断の探求であるだろう。図版の作品はまさにその一点だ。
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週刊エコノミスト
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