コロナの恐怖に勝る都市の魅力 首都の賃料低下は1%のみ=溝口健一郎
有料記事
当社ワシントン事務所は3月5日、新しいオフィスに引っ越した。現在のオフィスの契約が切れるのを機に、近接した新しいビルに移動したのである。旧オフィスの契約を更新する選択肢もあったが、傷みが激しく、当地の不動産賃料を見ると、引っ越した方が好条件を得られることからの決断だった。
コロナ下で引っ越し
引っ越し先は2019年末までに決めていたが、新オフィスのデザインや調度品の選定は新型コロナウイルス感染拡大下に進めた。デザイン会社との打ち合わせは毎週オンラインで実施。フロアカーペット、壁素材、椅子の生地など、大量のサンプル品が自宅に送られてきて、我が家は設計事務所のようになってしまった。実物を見て選ぶべしとの要請からである。オフィスでは全員在宅勤務を続けており、引っ越しの際には交代で出勤して不用品の廃棄や自分の荷物の梱包(こんぽう)を進めた。
ワシントンDCのオフィス賃貸市場は、ビル建設が続いたことでここ数年供給過多だ。加えて、昨年はコロナ禍で賃貸契約の解除が急増し、オフィス空室率は19%に達した。これは、世界金融危機直後の09年の16%を超える。行政による街の部分的ロックダウン(都市封鎖)が実施され、公的機関・民間企業ともリモートワークを続けていることによって、物理的なオフィス使用の必然性が低下。レストラン、バーや劇場・映画館の閉鎖…
残り748文字(全文1319文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める