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手厚い雇用対策のしわ寄せ若者に=斎藤太郎

 雇用情勢は新型コロナウイルスの影響で悪化したが、過去に例を見ない手厚い雇用対策を背景に、失業率は3%程度で踏みとどまっている。経済活動の急速な落ち込みを踏まえれば、失業率の上昇は限定的といえるだろう。

 政府は雇用調整助成金による雇用維持を雇用対策の柱として位置付け、段階的に助成率の引き上げ、対象労働者の拡大等を行ってきた。この結果、2020年度の雇用調整助成金の支給決定件数は281万件、支給決定金額は3・0兆円(21年3月12日までの実績)となり、いずれもリーマン・ショック後の3年間(09~11年度)の実績を上回っている(図1)。

 雇用調整助成金の拡充が失業者の増加に歯止めをかけてきたことは確かだが、経済活動の水準が元に戻らない中で無理に雇用を維持し続けることは、新規雇用、特に新卒採用の抑制につながる恐れがある。実際、日銀短観20年12月調査では、11年度から増加が続いていた新卒採用計画が20年度に前年度比2・6%減と10年ぶりの減少となり、21年度は同6・1%減と減少幅が拡大した(図2)。

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