「模倣大国」から「技術強国」へ 基礎研究強化で“転換”狙う=真家陽一
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「有人宇宙飛行、月面探査、深海プロジェクト、スーパーコンピューター、量子情報などの分野で大きな成果を収めた」。李克強首相は3月5日に開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の政府活動報告で、第13次5カ年計画期(2016~20年)の科学技術分野の実績を評価した。
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米中対立の激化を背景に、中国は科学技術の「自力更生」の道を模索する。「新冷戦」とも称される米中対立の本質は「ハイテク産業を巡る大国間の覇権争い」であり、米国は中国による知的財産侵害を問題視し、輸出管理と投資に関わる規制を強化している。
実際、中国の知的財産侵害問題はいまだ深刻だ。例えば、国際協力銀行(JBIC)が今年1月に公表した調査では、海外事業展開の課題に「知的財産権の保護」を挙げた企業の割合は、国・地域別では中国が37・2%でトップだった。また、特許庁が2月に公表した「模倣被害実態調査報告書」では、模倣品の製造国、販売提供国が中国と回答した企業数はそれぞれ4893社、4015社となり、いずれも最多であった。
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週刊エコノミスト
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