小説 高橋是清 第138話 原内閣=板谷敏彦
有料記事
(前号まで)
政府がシベリア出兵を宣言すると米価が高騰、全国に拡大する米騒動に対し寺内内閣は徹底的な弾圧と厳罰主義でのぞむ。世論の支持を失った寺内は辞意を表明、原内閣が発足する。
大正7(1918)年9月29日、原内閣がスタートした。華族ではない無爵の平民宰相、日本初の本格的な政党内閣である。
立憲政友会(以下政友会)としては山本権兵衛内閣の与党以来5年ぶりの政権復帰であった。
これまでの首相は公家の西園寺を除けば、皆西南雄藩の下級武士出身ばかり。原は家老職の出自ながら南部藩は奥羽越列藩同盟のひとつ、ご維新以来の朝敵からの初めての首相就任だった。
残り2504文字(全文2780文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める