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小説 高橋是清 第139話 深井パリへ=板谷敏彦

(前号まで)

 華族ではない無爵の平民宰相、日本初の本格的な政党内閣として原内閣が発足、是清は大蔵大臣に就任する。1カ月後ドイツ軍が休戦協定を受諾、4年にわたる欧州大戦が終結した。

 大正7(1918)年11月、日本銀行理事の深井英五は、赤坂表町の是清の家を訪ねた。

 深井もすでに46歳、日露戦争時の出張以降も深井はたびたび個人的に是清のもとを訪ねていた。だが今回の深井はパリ講和会議の日本全権団の一人として訪れた。大蔵大臣の監督下にある日本銀行の理事として業務の一環である。

「大臣、今回の主張に際して、私が心得るべきことをご指示願います」

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