教養・歴史書評

女性の地位向上に貢献 理想を求める現実主義者=井上寿一

 森喜朗元首相・東京五輪組織委員会会長(当時)の「女性蔑視発言」を直接のきっかけとして、男女差別の問題が議論されている。いまだにこのレベルなのかとの批判がある一方で、ここまで平等に近づいたと評価することも可能だろう。そこには女性の地位向上をめざす社会運動の長い歴史があった。

 このような社会運動を主導した人物のひとりが市川房枝である。市川の評伝研究は、たとえば伊藤康子『市川房枝 女性の一票で政治を変える』(ドメス出版)のように、女性の著者による女性史の観点が色濃い。

 対する村井良太『市川房枝 後退を阻止して前進』(ミネルヴァ書房、3850円)は男性の著者による日本政治外交史の観点からの著作である。本書の独自性は、男性の著者によるところにあるのではなく、日本政治外交史のなかに市川を位置づけている点である。

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