『ベネズエラ』 著者・坂口安紀さん
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◆著者 坂口安紀さん(ベネズエラ研究者)
ベネズエラの民主主義は20年でじわじわと溶けた
かつて「南米の優等生」だったベネズエラ。豊富な石油を持ちながら近年、国民は物資不足に苦しみ、国民の1割以上も国外へ脱出している。
「20年かけて民主主義がじわじわと溶けていきました。選挙や国会、裁判所といった制度は形だけ残り、大統領の思い通りに動く政治体制が出来上がっています。クーデターのように分かりやすい脅威とも違い、気づいたら後戻りのできない“溶解”が民主主義には起きるのです」
1990年にラテンアメリカ研究を志して入った研究所で、担当国に割り当てられたのがベネズエラだ。それまで南米の国々は軍事政権とハイパーインフレが定番だったが、ベネズエラは2大政党制のもと国家財政は石油に支えられ、研究上は面白味のない国だとみなされていた。
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週刊エコノミスト
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