映画 海辺の彼女たち 外国人技能実習生の過酷な現実 淡々としたリアリズムで描く=勝田友巳
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倉庫のような建物の中から出てきた3人の女が、おびえながら夜の闇に紛れて行く。フェリーで夜を明かし、降り立った港で迎えの車と合流してようやく息をついた。出だしの迫力はなかなかのものだ。やがて彼女たちはベトナム人技能実習生で、非人道的な勤め先の扱いに耐えかねて脱出したのだと分かってくる。日本在留外国人を取り巻く、過酷な環境をリアリズムで描く映画である。なんだ堅苦しい社会派映画か、と及び腰になるのは、ちょっと待ってほしい。
3人は同胞の斡旋(あっせん)で東北地方の漁港で働き始める。パスポートも外国人登録証明書も前の雇い主に預けたままだから隠れて生きるしかない。やがて、一人の妊娠が発覚する。日本語での意思疎通は思うようにならず、助けを求める先もない。同胞の怪しげな手引きにすがってなけなしの金を搾り取られた。
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週刊エコノミスト
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