「大恐慌期」に並ぶ米債務比率=市岡繁男
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過去100年間の米国債務比率(非金融部門債務総額÷名目国内総生産)は四つの局面に大別される(図1)。第一は1915〜33年で、大戦とその後の好況で金融債務は増大、株価は上昇する。だが29年の大恐慌で株価が暴落し、借金で投資していた投資家はあらゆる資産の売却を余儀なくされたことで、債務残高以上に国内総生産(GDP)が減少してしまう。債務比率のピークが33年なのはこのためだ。
第二は34年〜52年で、当局の各種対策が奏功し、債務比率は低下する。だが一番効果的だったのは第二次大戦で、GDPの急増に伴い債務比率は52年までに恐慌以前の水準に戻る。債務比率が正常化した54年になって株価が29年の高値を更新したのは象徴的だ。第三は53年〜81年で、債務比率の極大化が恐慌の遠因となった反省から、当局は銀行貸し出しを規制し債務比率は安定していた。だが経済拡大による資金需要の増加に…
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週刊エコノミスト
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