「働く人」の輸送に特化 全米2位の首都地下鉄網=溝口健一郎
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全米2位の規模を誇る地下鉄・ワシントンメトロの主要駅はコンクリート打ちっぱなしの壁面が独特の曲線を描く、SF映画のような景観だ。駅は、地中のかなり深くに設置されており、「核戦争時のシェルターにするためだ」との根拠無きうわさ話が絶えないが、単に地面に近い不安定な地層を避けるためであった。
筆者も新型コロナウイルス感染拡大によってリモートワークに移行する前は、通勤に地下鉄を利用していた。ラッシュ時には、肩が触れ合うほどには混み合う。郊外のベセスダから20分ほどでワシントンDC中心に到着し、長いエスカレーターで地上にたどり着くと、路上のサックス奏者が迎えてくれるのが朝の光景だった。
コロナ後は利用者が激減した。ワシントンメトロの1日当たりの平均利用者数は、2019年は62・6万人だったが、20年は17・7万人と70%以上下落した。財政は悪化し、ワシントン首都圏交通局は従業員の解雇や、20以上の駅の閉鎖などを検討していた。しかし、バイデン政権による州政府向けのコロナ救済支援策のおかげで、辛うじて回避できた。
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週刊エコノミスト
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