農産物の高騰で、高まる世界規模の動乱不安=市岡繁男
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主食が高騰すると動乱が起きた
日本では長らく、米の商取引は石(こく)を単位にしてきた。成人は1日3合の米を消費するので、米1石(1000合)の値段は人々の年間主食費にほぼ等しい。そして江戸末期~昭和初期の「米価÷大工の日当」を見ると、庶民の年間主食費はおおむね、労賃の10~20日分で推移していた(図1)。
注目は、その範囲を超えて米価が上昇すると歴史的な事件が起きていることだ。(1)1833~37年:天保の大飢饉(ききん)と大塩平八郎の乱、(2)1866~69年:幕末・明治維新と戊辰戦争による混乱、(3)1880~81年:西南戦争後のインフレと、その後の松方デフレ(日銀を設立し紙幣流通量を適正化)、(4)1918~19年:米騒動=大正バブルやシベリア出兵などで米価が急騰し全国に暴動が波及――などが…
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週刊エコノミスト
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