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経済・企業 世界経済急回復のワナ

3回目の緊急事態宣言も追い打ちに 融資細る中小企業が窮地=友田信男

厳しい資金繰りの企業は多い
厳しい資金繰りの企業は多い

リスク6 コロナ倒産 中小企業への融資が細る 地銀・信金は不良債権増加へ=友田信男

 新型コロナウイルスに関連した企業の破綻件数が今年1月から月間最多を更新している。飲食業、宿泊業など消費者に身近な業種を中心に影響が出ている。今年2月、民事再生法適用を申請した中堅アパレルのサンクローバー(岐阜市)は、卒業式、冠婚葬祭などの自粛で2020年5月期の売上高が12億7019万円に激減。コロナ関連融資で1・2億円を調達したが、借入金が年商を超え、債務超過に陥った。3回目の緊急事態宣言が発令された影響も今後じわじわと出てくる見込みで、過剰債務を抱えた企業の破綻が続きそうだ。

 一方、企業倒産全体を見ると、その数は減少している。東京商工リサーチ(TSR)がまとめた20年度の企業倒産(負債1000万円以上)は、7163件(前年度比17%減)で、1990年度(7157件)以来、30年ぶりに8000件を下回った。これは、コロナ対策での特例措置である雇用調整助成金や1兆5176億円に及ぶ納税猶予制度の特例、そしてリーマン・ショック時をしのぐ政府の資金繰り支援などが機能した結果だ。

 コロナ禍では、既存借り入れの返済が困難な企業も借り入れが可能となった。資金繰り緩和に寄与したゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)は、据え置き期間が最長5年だが、1年据え置きが約6割を占め、その大半が返済を迎えている。TSRが4月に実施した「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」では、企業の60%が3月の売上高が前年同月比で減収と回答。厳しい資金繰りの企業が多いため、保証付き融資の借り換えの支援を受ける「緊急借換資金保証制度」の利用や返済猶予を繰り返す事態が想定される。

ゼロゼロ融資がアダに

 中小企業を中心に経営不振が続いているが、一部の金融機関や信用保証協会で、融資や保証承諾の申し込みを減額や拒絶するケースが出ている。「債務の過剰感が強い企業は、貸出金の返済が難しい」(金融機関)というのが理由だ。

 ゼロゼロ融資は信用保証協会が100%保証し、利子相当分は都道府県が3年間補給する。金利は1・7〜2・2%前後で、金融機関にとっては利ざやを稼ぐチャンスでもあった。積極的に貸し出しが行われた結果、日本銀行がまとめた3月の「貸出・預金動向速報」によると銀行と信用金庫の貸出平均残高は合計579兆9945億円(前年同月比6・3%増)と、2020年6月以降、6%台の高い伸び率が続く。

 業態別の伸び率は、地方銀行が前年同月比4・9%増、第二地銀が同6・5%増、信用金庫が同8・6%増で、いずれも伸び率が高い。第二地銀は20年4月から前年同月を上回るが、コロナ前の20年3月までは23カ月連続で前年同月を下回っていた。金融機関にとってゼロゼロ融資はノーリスクで、金利競争のマイナス分を取り戻す機会だ。しかし今後、中小企業が倒産した場合、同時に不良債権化し、金融機関にも深刻な影響を及ぼすことは避けられない。

(友田信男・東京商工リサーチ常務情報本部長)

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