2020年の米出生率4%減 人口動態に高まる危機感=岩田太郎
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米国が新型コロナウイルスの直撃を受けた2020年に、同国の出生率は前年比4%低下したと、米疾病対策センター(CDC)が5月5日に発表した。コロナ禍における「巣ごもりベビーブーム」を予想していた専門家に衝撃が走るとともに、どのように出生率を高めてゆくべきなのか、議論が交わされている。
米『タイム』誌のエミリー・バローン記者は5月5日付の電子版記事で、「20年生まれの赤ちゃんのほとんどは(コロナ禍以前の)19年に受精された子どもであり、パンデミックが出生率低下にもたらした影響は大きくはなかったと思われる。出生率が下がったのは、より長期的な人口動態の傾向である可能性が強い」と指摘した。
ジョンズ・ホプキンズ大学の人口学者であるアリソン・ジェンミル助教は5月5日付の米『ニューヨーク・タイムズ』紙の記事で、「これは大きな社会的変化であり、徐々に出産の先延ばしが増えていることを意味する」と分析した。ニューハンプシャー大学のベテラン人口学者、ケネス・ジョンソン教授も同記事で、「出生率は米史上最低となった。出産を遅らせている女性が赤ちゃんを産まなければ、恒久的な人口ピラミッドに凹みが生じ…
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週刊エコノミスト
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