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教養・歴史 書評

国民自ら全体主義へ? 戦時下と現代は相似形

国民自ら全体主義へ? 戦時下と現代は相似形=ブレイディみかこ

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「おうちでパンケーキ」「断捨離」「国民皆マスク」と聞けば、現代の話をしていると思うかもしれない。だが、これらは戦時下の日本の「日常」の一部だった。『「暮し」のファシズム戦争は「新しい生活様式」の顔をしてやってきた』(大塚英志著、筑摩選書、1980円)を読むと、第二次世界大戦中に発足した第2次近衛内閣が提唱した「新生活体制」と、コロナ禍に謳(うた)われている「新しい日常」の相似に驚かされる。

 理髪店を自粛の対象にせず、美容院のみを対象にすることに執着した小池百合子都知事の選択に「パーマネントは止(や)めませう」のスローガンが重なる。さらに、同知事は自粛下に「こんまり」(片付けコンサルタント・近藤麻理恵さんの通称)の動画を配信したが、戦時下の婦人雑誌にも服や物品の整理法などのミニマリストめいた記事が躍っていた。

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