教養・歴史鎌田浩毅の役に立つ地学

「脱炭素」を考える/2 大気と海水の間でも大循環/54

 世界各国で急速に進んでいる脱炭素やカーボンニュートラル(炭素中立)の動きを考えるうえで、地球上で大規模に行われている「炭素循環」という現象への理解は欠かせない。前回は地球内部の「固体地球」での炭素循環を扱ったが、今回はその上位で行われる「流体地球」の炭素循環を解説しよう。

 固体地球の内部では総重量の8割を占めるマントルが対流運動を起こし、ホットプルームと呼ばれる炭素を含む巨大な岩石の塊が地表へ向けてゆっくりと上昇する。地学で「プルーム・テクトニクス」と呼ばれる地球深部の大規模な変動現象だが、同時に地球表面を覆っている冷たく硬いプレート(岩板)を水平方向へ動かしてきた。

 例えば、「大陸移動」はこうした「プレート運動」よって起こり、「長尺の目」で見れば地球表面の物質は絶えず置き換えられてきた(本連載「第38、39回」参照)。炭素はその際、固体地球の上面で接する流体地球へと大量に供給されてきたのである。

残り918文字(全文1323文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事