新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

教養・歴史 闘論席

近代五輪の精神は賞味期限切れだ=片山杜秀

撮影 大西岳彦
撮影 大西岳彦

片山杜秀の闘論席

 五輪は平和の祭典という。近代五輪の祖、フランスのクーベルタン男爵は確かに、五輪は世界平和に貢献できると言った。なぜそう思ったのか。

 クーベルタンは英国かぶれだった。19世紀英国の高等教育の場ではスポーツが隆盛している。そこに目を奪われた。当時高等教育を受けているのは限られたエリート層。将来の政治家や法律家、高級官僚や大企業の幹部が、心身両面の均衡ある発展を目指し、特には団体競技に打ち込んでいる。協調心やフェアプレーの精神を養い、それが世界に冠たる大英帝国の強みに結び付いているようだ。

 他国もこのやり方を学ぶべし。そして国際試合の場を設け、各国のエリート予備軍を交流させ、友情を深めさせたらよい。彼らは各国の政財官界のリーダーになってゆくだろう。五輪は世界平和に貢献するではないか。クーベルタンの平和の話とはそういう即物的な意味なのだと思う。ジェントルマンたちの国境を超えた社交の場としての五輪である。

残り373文字(全文785文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事