萬鉄五郎に森村泰昌、日本近代美術の傑作を一挙に見られる絶好の機会=石川健次(美術)
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美術 所蔵作品展「MOMATコレクション特別編 ニッポンの名作130年」=石川健次
珠玉の名作で近現代をたどる 個性尊重を謳った卒業制作
初めてこの絵に接したのは中学生の頃、美術の教科書か画集だったと思う。図版の作品だ。実際に絵を見たのは大学生のときが最初だろう。以後、何度も見る機会に恵まれた。誤解も不遜も恐れずに言えば、「もしかしてヘタ?」とか「鼻が黒いのは鼻毛が長いから?」など難癖をつけまくった。
一方、この絵の自由奔放な色彩や筆づかいこそが、本展の言葉を借りれば「個性を尊ぶ大正時代の幕開けを飾る作品」である本作の真骨頂などと知るにつれ、やがて近代日本美術のなかで好きな作品の五指に入る一点となった。今回改めて絵を前に、この草原をそりですべったら気持ちいいだろうなあとふと思った。妄想、もとい多様な想像に浸らせてくれるのも、名作ならではだろうか。
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週刊エコノミスト
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