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小説 高橋是清 第148話 対支経済政策概見=板谷敏彦

(前号まで)

 国家財政を圧迫するシベリア出兵をめぐり政府と軍部の溝は深まる。是清が記した政策提言『内外国策私見』が物議を醸す中、大正天皇の病状が進行する。

 明治・大正の立身出世した高官たちの多くは留学や外遊の経験をした。元老山県有朋は欧州大戦が終わった翌年の大正8年ごろから、皇太子裕仁親王(昭和天皇)にも是非欧米を中心に外遊して見聞を広めていただきたいと考えていた。

 しかし大正天皇が病弱で、皇太子には近々摂政として政務を補佐してもらわなければならないこと、また皇后をはじめとする皇室や、国粋主義者などからの反対もあり、山県は宮中某重大事件と関連付けられてなかなか実現せずにいた。

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