週刊エコノミスト Onlineコレキヨ

小説 高橋是清 第148話 対支経済政策概見=板谷敏彦

(前号まで)

 国家財政を圧迫するシベリア出兵をめぐり政府と軍部の溝は深まる。是清が記した政策提言『内外国策私見』が物議を醸す中、大正天皇の病状が進行する。

 明治・大正の立身出世した高官たちの多くは留学や外遊の経験をした。元老山県有朋は欧州大戦が終わった翌年の大正8年ごろから、皇太子裕仁親王(昭和天皇)にも是非欧米を中心に外遊して見聞を広めていただきたいと考えていた。

 しかし大正天皇が病弱で、皇太子には近々摂政として政務を補佐してもらわなければならないこと、また皇后をはじめとする皇室や、国粋主義者などからの反対もあり、山県は宮中某重大事件と関連付けられてなかなか実現せずにいた。

残り2412文字(全文2703文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

6月6日号

上がる金&揺らぐドル 史上最高値への地殻変動16 米実質金利との逆相関 崩れた背景に中銀の買い ■村田 晋一郎/谷道 健太19 これで分かった! 「金」の基礎知識 Q&A ■池水 雄一 徹底展望 2023年末 金価格の見通し22 2300ドル 非民主的国家が買い増し 西側への不信で分断拡大 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事