美術 ランス美術館コレクション 風景画のはじまり コローから印象派へ=石川健次
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アトリエを飛び出し、戸外へ 新たな制作現場へのこだわり
シャンパンで有名なフランス、シャンパーニュ地方のランス市にあるランス美術館は、19世紀フランスの風景画コレクションで知られる。本展には、この豊かなコレクションから珠玉の風景画が並ぶ。自粛で遠出を控えている今、せめて絵のなかで……と千変万化の風景を楽しむうち、コローと印象派にとりわけ関心を抱いた。作品はもちろん、いやむしろ作品が描かれた場所、言い換えれば画家の制作現場に、だ。
肖像画などの背景に過ぎなかった風景は、次第にそれらと肩を並べ、風景だけを意識的に描く風景画が誕生する。19世紀に入ると鉄道を中心に交通網の整備が進み、またチューブ入り絵の具が発明され、画家はアトリエを飛び出し、戸外にイーゼルを立てて風景画に熱狂した。風景を前に、まさにその場所が、新たな制作現場になった。
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週刊エコノミスト
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