中国共産党100周年を独が警戒 毛沢東時代への「復古調」疑問視=熊谷徹
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ドイツの中国経済への依存度は相変わらず高いが、近年政治的理由から対中警戒感が強まっている。7月1日の中国共産党創立100周年記念式典に関するメディアの論調にはっきり表れていた。
同国のメディアが強調したのは、習近平国家主席の外国に対する敵愾心(てきがいしん)だった。大半の新聞社、放送局が習主席の演説から「我々は、外国による抑圧や奴隷化を絶対に許さない。それを試みる者は、14億人の中国人民の肉と血で築かれた、鋼鉄の長城に激突して傷つき血を流す」という箇所を引用した。
ドイツでは去年から台湾情勢についての報道や分析が増えているが、大半のメディアが習主席の「台湾の平和的統一は共産党の歴史的任務であり、全中国人の願いだ。台湾を独立させようとする試みは、必ず粉砕される」という言葉を報じた。
ドイツのメディアの中国報道には、表面的な物が多い。その中で、保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ(FAZ)』のF・ベーゲ特派員の報道は、鋭い批判によって抜きんでている。ベーゲ氏は7月2日付紙面で「今回の式典で習主席は、共産党と国民の一体性を強調した。主席は、党と国民を分断しようとする外国の試みは必ず破綻すると警告した」と指摘。
その上で同氏は、今回の式典の目的は、習主席の支配体制をより堅固にすることだったと分析する。そのために習主席は、毛沢東時代を思わせる演出を行った。
式典は文革を連想
ベーゲ氏は「式典では、大勢の少年少女が白と水色の服と赤いスカーフを着せられ、満面の笑顔で拍手をした。この光景は北朝鮮政府が催す式典を連想させた。多くの中国人はこの映像を見て、文化大革命で毛沢東が少年少女に思想…
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週刊エコノミスト
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