菅側近が相次ぎ逃げ出した!進む「泥船」からの脱出=伊藤智永
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菅首相側近が相次ぎ離脱 周辺で続く不穏なほころび=伊藤智永
祝祭気分とは程遠く、一種異様な緊張感の中で東京オリンピックが開かれる。中止か延期かが焦点だった昨年の迷いは、今から思えば単純だった。大会は、観客数の上限設定、公園・スタジアムでの大型映像観戦中止、無観客開催、協賛企業の宣伝自粛など本番前に小刻みに縮小され、ついには首都圏に新型コロナウイルス感染の緊急事態宣言が発令される中での異例の開催である。
政権続投には強気姿勢
菅義偉首相は「今はもうワクチン一本でいきたい」と悲壮な賭けを公言する。それなのに、全国の地域・職域で接種が急停止を余儀なくされて間もなく1カ月。河野太郎ワクチン担当相や田村憲久厚生労働相は「うれしい悲鳴」「一部の打つペースが速すぎる」などと強がるが、実は5月連休前から輸入量が減っていながら「出口」を急拡大していたというお粗末さ。民間企業ならプロジェクト責任者は更迭、担当役員と社長は謝罪と減給、いや引責辞任してもおかしくない大失敗である。
それでも菅氏は五輪後の衆院選挙で、議席は大幅に減らしても自公過半数を維持すれば、政権続投は可能との強気を崩さない。側近を「長期政権の展望も開ける」と鼓舞する。政権交代の選択肢を示せない野党がその強気を助ける。自民党内で張り合う安倍晋三前首相と二階俊博自民党幹事長も、菅氏続投支持では一致している。誰もが菅氏の指導力不足にいら立ち、「本当に五輪後も続くのか」とあきれながら、続投が既定路線になっていく奇妙な政局である。
強気を装う裏で、菅氏の周辺に不穏なほころびが続いている変化は見逃せない。脇を固める側近たちの相次ぐ離脱だ。先週号の…
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週刊エコノミスト
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