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教養・歴史 小川仁志の哲学でスッキリ問題解決

コロナ禍でもマスクをしなかったり、手洗いをしない人に嫌悪感を持つ私は過剰ですか=小川仁志

コロナ禍、マスクや手洗いなど衛生意識が高まり、無頓着な人に嫌悪感を覚えます/92 

 Q コロナ禍、マスクや手洗いなど衛生意識が高まり、無頓着な人に嫌悪感を覚えます

 A 過度に衛生に敏感な人たちの出現を抑制する「穢れの概念」に耳を傾けよう

 コロナ禍で、世の中の衛生観念が変わった気がします。かくいう私も、マスク着用を嫌がる人など衛生に無頓着な人に嫌悪感を覚えるようになりました。これは仕方のないことなのでしょうか。

(営業職・40代女性)

 コロナが終息しても、衛生観念のレベルが下がることはないでしょうね。手指がどれだけ汚いか、話す時やせきなどによる飛沫(ひまつ)がどれだけ飛んでいるか、私たちはもう知ってしまったのですから。

 とすると相談者だけでなく、世の中の人たちが衛生に無頓着な人をあたかも「穢(けが)れ」であるかのように扱うのは、致し方ないでしょう。この問題を考えるのにうってつけなのは、イギリスで活躍した思想家メアリ・ダグラスが論じた「穢れ」の概念です。

穢れは秩序を更新する

 ダグラスによると、穢れとは、分類体系にうまく当てはまらないもののことだと言います。つまり、社会秩序の中の適切な場所に位置づけることができない場違いなものが、穢れとされるのです。

 ゆえに社会は秩序を維持しようとするのです。異質なものがあっては、社会の秩序が保たれませんから。そういったものを排除する根拠として、穢れの存在…

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