英政権がシティーてこ入れ策 規制緩和、環境債に活路=増谷栄一
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リシ・スナク英財務相は7月1日、ロンドン市内で講演し、今年1月の欧州連合(EU)離脱後もロンドン金融街(シティー)がEUの金融市場に自由にアクセスできるよう求めたEU協議を断念する代わりに、英国内の金融サービス取引に関するルールや規制を撤廃または大幅に緩和する方針を発表した。EUに奪われたシティーの名声を早急に取り戻す戦略だ。シティーの起死回生までの道筋を示すロードマップ(行動計画)が今秋から動き出す。
この講演と同時に、財務省はシティー活性化戦略を発表した。柱は、英国でのIPO(新規上場)ルールや、政府や機関投資家などを対象とした大口金融(ホールセールバンキング)関連規制の見直しに加え、現金引き出しや預金商品に関する規制の見直し、保険会社の経営の健全性を示す「支払い余力」のルールの見直し、などになっている。
世界の金融サービス規制に詳しい米大手法律事務所レイサム&ワトキンスのシティー担当パートナー、ロブ・モウルトン氏は7月3日付の英紙『デイリー・テレグラフ』で、行動計画について、「英国の金融サービス市場は今後、猛スピードで、かなり遠くまで前進する」と指摘した。
シティーが1月のEU離脱により、EUに奪われた金融サービス市場でのシェアを取り戻してきているのも事実だ。出遅れていた環境関連の金融サービスでのシェア拡大も期待される。
市場シェアについては、シティーは6月の1日当たり株式売買額が平均89億ユーロと、アムステルダムの88億ユーロを抜き、英国がEUから離脱した1月以来、6カ月ぶりに欧州での首位奪還に成功した。また、ロンドンで新規上場する企業数もこの6カ月間で49社に達し、…
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週刊エコノミスト
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