コロナ感染再爆発の中国で動揺する習政権 対米強硬外交は事実上挫折か=金子秀敏
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感染再爆発で動揺する習政権 対米強硬外交は事実上挫折か=金子秀敏
中国共産党の現役指導部と「長老」(元指導部)が毎年8月前半、河北省の保養地、北戴河(ほくたいが)に集まって開く密室協議「北戴河会議」が今年も始まった。
今年のテーマは、来年秋の第20回党大会で選出される党中央政治局メンバーの内定だ。総書記3選を目指す習近平総書記(国家主席)は、李克強首相など共産主義青年団(共青団)派や江沢民派を党中央政治局から排除した新指導部体制を目指している。
習主席は7月1日、建党100周年祝賀式典で、「貧困脱却」と「新型コロナウイルス感染の制圧」を自身の実績として自賛し、3選支持の世論を作ろうとした。
だが、皮肉にもこの直後から習政権の内政、外交の行き詰まりが次々に表面化した。7月20日、河南省を記録的な豪雨が襲った。ダムの緊急放流などによって農村部が水没し、省都・鄭州(ていしゅう)市では地下鉄に浸水して多数の乗客が死亡した。6車線のハイウエーのトンネルでは、流れ込んだ激流が約1000台の車を水没させた。
事前予告なしにダムを緊急放流したことが大きな被害を生んだ人災であるとネット上で告発された。だが、河南省や鄭州市の当局者は、犠牲者数を隠蔽(いんぺい)し、「5000年に1度の豪雨だった」など責任転嫁を続けた。
河南、鄭州の党委員会書記はかつて習主席の部下だった習派の幹部だ。習主席は洪水の2日後、チベット自治区を視察したが、水害には言及しなかった。
一方、李克強首相は8月2日、国務院に鄭州市豪雨災害調査チームを設置した。北戴河で習主席への批判が出たことは明らかだ。
その頃、中国各地で新型コロ…
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週刊エコノミスト
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