「不動産バブル崩壊」説の真相
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「不動産バブル崩壊」説の真相/107
新型コロナウイルス禍により、「不動産バブルが崩壊する」といった言説が、いろいろなメディアやインターネット上でにぎわっていたのは記憶に新しい。さて、現実はどうだっただろうか。
不動産を含む市場のメカニズムは、以下のようなものだ。まず、リーマン・ショックのような金融危機が発生すると、株式や不動産といった資産市場で投げ売りが起きる。多くの企業や個人が資産を売却し、当座の資金繰りに充てるためだ。嵐が通り過ぎるまで価格は暴落するしかない。それまで膨らみ続けてきた信用(融資)は、この崩壊過程をもって世間で「バブル」だったと認識されることになる。
一般的にバブル崩壊過程は、それを放置しておくと市場の収縮が止まらないため、危うい金融機関や企業に公的資金を注入するなどの策を取る(図1─(1))。この応急策が奏功し、市場が落ち着いてくると、徐々に通常モードになる(図1─(2))。安定感が増してくれば、再びリスクが取れるようになって(図1─(3))、やり過ぎるとオーバーリスクテーク(図1─(4))となり、金融危機が起こるというサイクルだ。
日本はもともと割安
2020年初頭のコロナ禍に見舞われる以前の不動産市場を見てみよう。世界の主要都市での高級マンションの価格水準を比べると、大阪はもちろん、東京がかなりの割安水準にあったことがわかる(図2)。
これは日本の株価水準が他の先進国と比べて相対的に出遅れてきたのとまったく同じ理屈だ。リーマン・ショック(08年)で大きく落ち込んだ世界経済や金融市場で、日本は東日本大震災(11年)といった不幸も加わった。何より当時は株価…
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週刊エコノミスト
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