新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

投資・運用 不動産コンサル長嶋修の一棟両断

「居住誘導区域」は安全とはいえない

「居住誘導区域」は安全とはいえない/108

 我が国で、人口・世帯数減少やそれに伴う自治体運営の危機感といえば、かつては地方のこととされていた。だが、今後そのリスクが浮かび上がってくるのは、都市中心部から30~40キロ圏内、ドア・ツー・ドアで1~1・5時間かかる「ベッドタウン」と呼ばれた地域だ。団塊の世代を中心に住宅を求めて一斉に入って来たこうした地域は、それに見合う若年層の流入がない限り、人が減るのも一気だ。

 例えば、埼玉県だとさいたま、川越、志木、戸田、春日部各市などが挙げられる。千葉県は松戸、柏、流山の各市。神奈川県は横須賀、相模原、藤沢の各市などが「立地適正化計画」といった街を縮める計画の策定に乗り出している。

 しかし、各地のこうした取り組みの中に大きな問題が含まれている。というのもこの立地適正化計画の「居住誘導区域」に、災害可能性のある地域が多数含まれているのだ(図)。運用指針に「リスクのある地域は原則として含めないこと」となっているものの、「リスクのある地域を居住誘導区域に含める場合には、災害リスクや警戒避難体制の整備などの防災対策などを総合的に勘案し(中略)立地適正化計画に各種の防災対策を記載することが望ましい」といった文言が含まれている。このため、自治体によって対応はまちまちだ。

 従って「土砂災害警戒区域」「浸水想定区域」などへ自治体が「居住誘導」している実態があり、居住誘導区域なら安全とは全くいえない。

 しかし、やがてこうした状況にも変化が生じるだろう。万が一、災…

残り554文字(全文1204文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事