教養・歴史書評

藤原仲麻呂を中心に、奈良時代の王権をめぐる動乱を徹底解説

役者ぞろいの反乱を軸に奈良朝史の全貌を解説=今谷明

 長屋王の変(729年)から始まって藤原仲麻呂(なかまろ)(恵美押勝(えみのおしかつ))の乱にいたる動乱を奈良朝諸反乱と呼ぶが、最後の仲麻呂の乱は、規模も大で役者がそろっている。特に反仲麻呂側には孝謙上皇(女帝)、吉備真備(きびのまきび)、“妖僧”の道鏡らが控え、就中、真備は2度の在唐留学の実績があり、兵法の専門家で、折から造東大寺司長官として大活躍が目立った。

 この乱については、50年以上前に岸俊男著『藤原仲麻呂』(吉川弘文館人物叢書)が出て古典的価値を得ていたが、今回紹介する仁藤敦史著『藤原仲麻呂 古代王権を動かした異能の政治家』(中公新書、946円)はその後の研究成果などを踏まえ、新しく論じたてた意欲作である。

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