教養・歴史 書評 『日本金融百年史』 横山和輝著 ちくま新書 1100円 2021年9月3日 『日本金融百年史』 横山和輝著 ちくま新書 1100円 1920年代に起きた金融恐慌への対処は、平成のバブル崩壊と金融危機、それに続く経済停滞への政策対応でしばしば参照された。最たるものが高橋是清財政の成功であり、現在の異次元金融緩和の根拠ともなった。本書は、歴史の教訓と称する後世の言説が、時に成功や失敗の原因を一面的に捉えたものに過ぎないことを浮き彫りにする。統計分析であっても推定や解釈が伴う。歴史に学べと言われるが、大事なのはむしろ歴史に誤って学ばないことなのだ。(A) 前の記事 『ビジネススキル図鑑』 堀公俊著 日本経済新聞出版 2420円 次の記事 元「ニューヨーク・タイムズ」東京支局長が「日本の愛国」を分析=孫崎享 文字サイズ 小中大 印刷