西洋化に「待った」! 日本と東洋の名作集めた三菱コレクション=石川健次(美術)
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美術 三菱創業150周年記念 三菱の至宝展 創業家4代のコレクション 日本や東洋文化への知的関心=石川健次
例えば、江戸時代初期に活躍した琳派の祖、俵屋宗達が遺した3点の国宝のうちの一つで晩年の大作《源氏物語関屋澪標図(みおつくしず)屏風》の単純明快な表現に潜む複雑な男女の機微に、すれ違う恋の切なさに思いをはせる。天下人の織田信長、豊臣秀吉と伝来した後、大坂夏の陣で罹災(りさい)したものの焼け跡から探し出され、見事に修復された“大名物(おおめいぶつ)”の茶器《唐物茄子茶入松本(紹鷗)茄子》に歴史の数奇を思う。
土佐藩の下級武士の家に生まれた岩崎彌太郎が1870(明治3)年、海運事業を興したのが三菱の始まりだ。以後、彌之助、久彌、小彌太と創業家4代の社長がグループの基礎をつくり上げるかたわら、膨大なコレクションを築いた。名品ぞろいなのはもちろん、絵画や仏像、古典籍、陶磁器や刀剣、古地図など幅広いコレクションの魅力に本展は迫る。
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週刊エコノミスト
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