資源・エネルギー鎌田浩毅の役に立つ地学

実は巨大な火山だった北アルプスの成り立ち=鎌田浩毅

日本のアルプス/2 かつて巨大な火山だった「北」/65 

 日本でも屈指の3000メートル級の山岳地帯である北アルプスは、かつて巨大な火山だった。北アルプスの最高峰は標高3190メートルの奥穂高岳で、富士山、南アルプスにある北岳に次いで日本で3番目に高い山である。

 北アルプスが南アルプスや中央アルプスと異なる点は、火山の存在である。活火山と認定された立山や焼岳があるだけでなく、雲ノ平などの溶岩台地が基盤をなしている。さらに「巨大噴火」の産物も山岳を作っている。実は、登山家に人気の槍(やり)ケ岳や穂高連峰は、高温の火砕流でできた火山岩なのである。さらに、これらの西にある笠ケ岳も大噴火によってできた。

 槍ケ岳・穂高連峰では「溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)」と呼ばれる岩石が露出している。軽石や火山灰として大量に空中へ放出されたものが、再び溶岩のように硬く固まったものである。セ氏900度を超える高温のマグマが、時速100キロという高速で地上を流れ、数十キロの範囲を埋めつくした。

残り826文字(全文1269文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事