菅首相は横浜市長選敗北でダメージも、「ポスト菅」不在で党内抗争は避ける動き=中田卓二
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横浜敗北で「菅離れ」加速も党内抗争は避ける動き=中田卓二
新型コロナウイルスの感染が全国的に広がり、内閣支持率は下げ止まらないのに、自民党は菅義偉首相の総裁再選に向けて動き出した。しかし、首相の地元・横浜市長選で側近が敗北し、地方組織には動揺が広がる。党内実力者が「菅おろし」を封じても、支持層の「菅離れ」は止まらない。
政府は東京など6都府県に発令中の緊急事態宣言を9月12日まで延長し、京都、福岡など7府県を追加した。まん延防止等重点措置を適用した16道県を合わせると都道府県の6割に規制の網がかかり、感染収束の出口は見えない。
「ポスト菅」候補不在
首相は昨年9月の就任以来、新型コロナ対策を最優先してきただけに大きな誤算だ。もとより菅内閣の支持率は感染が拡大すれば低下するという傾向が顕著で、報道機関の8月の世論調査では支持率が3割を切るケースもあった。
衆院議員の任期満了(10月21日)が迫り、自民党内は浮足立つ。新潟県連は8月11日、総裁選で党員・党友投票を実施するよう党本部に要請。同じ日、下村博文政調会長はBS-TBSの番組で「フルスペックで総裁選をきちっとやって、その後に衆院を解散すべきだという声が若手、中堅を中心にすごく広がっている」と述べた。議員秘書らは「菅さんと並んだポスターはだめ」「地元の批判はかなりきつい」とささやき合う。
そんな中、首相が新型コロナ対策について説明する8月17日の記者会見が、いつもより約2時間遅い午後9時に設定され、記者たちは「別の重大発表では?」とざわついた。2007年に安倍晋三首相、08年に福田康夫首相(いずれも当時)が突然、政権を投げ出した前例があるからだ。
ふたを開けると、首相は「この危機を乗り越えるという強い決意のもとで、医療体制の構築、感染防止、ワクチン接種という三つの柱からなる対策を確実に進めていく」と強調。総裁選立候補に関する質問には「時期が来れば、それは当然のことだろうと(7月に)答えている。それに変わりはない」と笑みを浮かべて答えた。
自民党幹部は「首相は自分から辞めるとは絶対に言わない」と断言する。では、記者会見での…
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週刊エコノミスト
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