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国際・政治 東奔政走

「解散」「無投票」シナリオ崩れ、首相への退陣圧力加速=人羅格

自民党役員会に臨む菅義偉首相(右)と二階俊博幹事長。二階氏は首相を支え続けるか(東京都千代田区の同党本部で8月3日)
自民党役員会に臨む菅義偉首相(右)と二階俊博幹事長。二階氏は首相を支え続けるか(東京都千代田区の同党本部で8月3日)

「解散」「無投票」シナリオ崩れ首相への退陣圧力が加速=人羅格

 東京五輪閉幕を境に、政界の景色は急変した。五輪成功を弾みに政権浮揚を図ろうとした菅義偉首相の思惑は外れ、自民党総裁選や次期衆院選を前にしての退陣圧力すら強まりつつある。

 何かをすればするほど遠心力が働き、どうすればいいかがわからない。視線が宙を泳ぎ、精彩を欠く首相の最近の表情からは、そんな焦りを感じさせる。

「選挙の顔」に疑問符

 与党の期待通り、東京五輪に多くの国民は熱中した。だが、同時にコロナ禍「第5波」が襲来、政権への逆風は強まるばかりだ。

 報道各社の世論調査は五輪開催を「よかった」とする意見が過半数を占める一方で、内閣支持率は軒並み過去最低を更新した。NHK調査では支持率が29%に落ち込み、不支持が52%に達した。「感動」と政権への評価を世論は明確に区別した。

 支持率低下は感染拡大に加え、首相自身の相次ぐ失策が招いた自業自得でもあった。

 まず7月23日の五輪開会式。天皇陛下による開会宣言の際、首相が遅れてあわてて起立する不手際が国民の目に焼き付いた。

「第5波」で東京都内の感染者が急増するさなかの8月2日、首相は唐突に重症者と高リスク患者を除き「在宅療養が原則」とする新方針を表明した。治療やケアの体制も整わぬ中での方針転換は与党からも「患者を切り捨てる気か」と猛反発を浴びた。結局、「中等症は原則入院」と修正したが国民に怒りと不信感だけが残った。

 さらに8月6日、9日の広島、長崎の原爆の日。首相は広島の式典で原稿を読み飛ばし、長崎の式典には遅刻した。負のスパイラルが国民の怒りといらだちを加速している。

「パラリンピック閉幕後の9月6日にも衆院を解散し、選挙勝利の余勢をかって自民党総裁選を無投票で乗り切る──」。五輪前に首相サイドが描いた政治日程はもはや風前のともしびである。

 8月末までの緊急事態宣言は、延長が確実視されている。首相が感染爆発のさなかで「9月解散」を断行すれば、自公に猛烈な逆風が吹きかねない。解散の余地はかなり狭まった。

 つまり、首相は衆院選を経ずに総裁選乗り切りを迫られそうだ。二階俊博幹事長は8…

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