週刊エコノミスト Online

コロナ感染終息後の増税ショックは「持たざる者」にも=深野康彦

コロナ終息後の増税は家計に深刻な影響を与える Bloomberg
コロナ終息後の増税は家計に深刻な影響を与える Bloomberg

コロナ感染拡大が終息したら増税が家計を襲う。高所得者だけでなく全世代が対象だ。退職金の税軽減見直しや保有不動産、株式投資まで、一律10万円の給付措置以上の負担増になりそうだ。ファイナンシャルプランナー、深野康彦氏のリポート後編は、待ち受ける増税ショックについて解説する。

特集「年収1000万円の呪い」はこちらから>>

コロナ禍の後にやってくる増税

 新型コロナウィルスの影響は人生で年収が高い時期に当たる40~50歳代だけでなく全世代に影響が及ぶ。足下、デルタ株により感染第5波となっているが、コロナによる感染と混乱が沈静化すれば、大盤振る舞いの財政政策の尻拭い、いわゆる増税が私達の家計を襲ってくる可能性は否定できない。折りしもコロナ禍で持つ者と持たざる者の格差が拡大したといわれるが、増税メニューは2020年に実施された高所得者や富裕層に絞ったものにはならないだろう。

高所得者イジメは一段落

 年収1000万円超の給与所得者は既に「給与所得控除の減額」により増税が行われているため、これ以上高所得者イジメは無理と筆者は考える。1000万円超の給与所得控除は段階的に引き下げられ、2020年には年収850万円以上は全て195万円(上限)となっている。同年、基礎控除が38万円から48万円に10万円増額されたことから、基礎控除の改定を考慮しなければ、20年に給与所得控除額は年収1000万円以上で15万円の減額となっている。家族構成にもよるが、年収1000万円以上の人は手取額ベースで4万~5万円減額となっている。

長く働いた人の退職金課税を見直し

 コロナの影響は老若男女全世代に及ぶため、東日本大震災後の「復興特別所得税・住民税」のような期間限定の増税が強いられるのではないか。このため増税で年収数十万円減は考えにくく、せいぜい数万円減が真綿で首を絞めるごとく家計に影響がでると予想される。勤労者に限定すれば「退職所得控除」の改定だろう。この控除は、勤続期間が20年を超えると勤続期間が1年延びるごとに70万円増えることになる。給与所得控除に上限が設けられていることを考えれば、給与の後払いの性格を持つ退職金の控除額は青天井では整合性が取れない。

 あるいは、高所得者、富裕層を狙い打つならば保有する資産に対する課税を強化することもありえるだろう。たとえば、自宅以外の不動産の固定資産税の引き上げ、上場株式などに対する税率の一律20%を数%引き上げることが考えられるだろう。

コロナ後に増える要介護高齢者

 年収減に影響するのは税金だけではないことに注意したい。社会保険料の引き上げも予想されるからだ。雇用調整金助成金を長期にわたり支給しているため、雇用保険の給付原資が急減していることから同保険料の引き上げは待ったなしといえるだろう。健康保険、厚生年金保険料の引き上げは直ぐには行われないだろうが、介護保険料は引き上げが視野に入るだろう。外出自粛などによりコロナ後は介護が必要な高齢者が急増すると予測される。

 介護保険料も財政は綱渡りが続いていることから、雇用保険と同じく保険料の引き上げは必須ではないか。場合によっては介護保険料を払い始める年齢が40歳から引き下げられることも絵空事ではないだろう。仮に介護保険料が引き上げられろと、手取額は数万円減になるのではないか。増税と社会保険料の引き上げを合わせるとここ数年で年収1000万円超の高所得者は年間10万円超の収入減となり、一律10万円の特別給付金は直ぐに吐き出すことになるのではないか。

深野 康彦(フィナンシャル・リサーチ代表)

インタビュー

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

2月7日号

賃上げサバイバル16 大企業中心の賃上げブーム 中小の7割は「予定なし」 ■村田 晋一郎19 インタビュー 後藤茂之 経済再生担当大臣 賃上げは生産性向上と一体 非正規雇用の正社員化を支援20 「賃上げ」の真実 正社員中心主義脱却へ ■水町 勇一郎22 賃上げの処方箋 「物価・賃金は上がるもの」へ意 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事