嫌われ者でもあり救護者でもあり……ヘリコプターはDC名物?=溝口 健一郎
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嫌われ者、救護者…… 首都名物?ヘリコプター
ワシントンDC地域に住んでいると他の街ではできない経験をすることがしばしばだが、ヘリコプターの存在もその一つだ。自宅にいても街を歩いていても、バラバラバラとヘリの音をよく聞く。筆者の自宅はウォルター・リード米軍医療センターのすぐ近くなので、そのせいもあるのかと思っていた。実際、トランプ前大統領が新型コロナウイルスに感染し、大統領専用ヘリで同センターに向かってくる時にはその機体の姿を遠目に見ることができた。
地域住民のヘリコプターの騒音に対する苦情は多く、国防総省と連邦航空局が対策を求められている。米国会計検査院の調査によると、ワシントン地域のヘリコプターの飛行数は年間約3万回。うち37%が軍関連、連邦政府及び地方政府の警察関連が21%、医療関連が21%、チャーター機が16%だ。軍・政府のヘリは大型機が多く騒音も大きい。加えて、ワシントン近郊には国際空港が二つあり、そこから離発着する航空機の安全性を確保するため、ヘリは比較的低空を飛ぶことが求められており、これも騒音の一因となっている。
世界のヘリコプター市場規模は年間約500億ドル(約5・5兆円)、そのうち米国市場は約200億ドルで世界最大だ。世界で稼働する商用ヘリ3万2000機のうち1万2000機が北米の空を飛んでいる。回転翼によって揚力を得て、回転面の方向変化で空中停止したり飛行したりするというテクノロジーは、約100年前の発明以来基本的に変化していないが、安全性や利便性を進化させてきている。高速飛行や長距離飛行には向かないが、比較的狭い場所に離発着できることから、利用範囲は、軍…
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週刊エコノミスト
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