アフガンから米軍撤退、中国メディアは台湾に警告=坂東賢治
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米のアフガン撤退、対中戦略に影 台湾に警告「いずれ切り捨て」=坂東賢治
アフガニスタンからの米軍撤収期限だった8月末を前に、イスラム主義組織タリバンが同15日に予想以上の早さで首都カブールを制圧した。バイデン米大統領は見通しの甘さを認め、内外から批判が高まる。同盟国を糾合して中国に対抗するという米国の戦略にも影を落としている。
米シンクタンク・大西洋評議会のケンペ会長は米CNBCへの寄稿(8月21日)で「アフガンの災難は『米国は戻ってきた』という同盟国へのメッセージを脅かす」と指摘し、米国と共にアフガンでの民主体制構築を支援してきた北大西洋条約機構(NATO)などへの影響に懸念を示した。
2001年に米国がアフガンに対する対テロ戦争を始めた際の英首相だったトニー・ブレア氏は自らの基金のサイトへの寄稿(8月21日)で「アフガニスタンとその国の人々を見捨てることは悲劇的で危険で不必要だ」と撤収を批判した。
米国の同盟国ではないが、日米豪と共に中国をにらんだ「クアッド」を構成するインドの英字紙『タイムズ・オブ・インディア』は社説(8月15日)で米国の指導力に疑問を示し、「インドは戦略的に米国に乗ろうとしてきたが、アフガン情勢によって再考を迫られる」と指摘した。
米国の指導力の陰りに敏感に反応したのが中国だ。民族主義的な論調で知られる人民日報系の『環球時報』紙の社説(8月16日)で米国の支援を受ける台湾に「アフガンの教訓をくみ取れ」と警告した。米国を頼りにしても、いずれはアフガンのように切り捨てられるという主張だ。
ロシアのプーチン大統領も8月20日、訪露したメルケル独首相との会談後の…
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週刊エコノミスト
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