アフガン協力者を救出できなかった独メルケル政権の「判断ミス」=熊谷徹
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アフガンに残される協力者4万人 独メルケル政権に「判断ミス」=熊谷徹
ドイツ連邦軍は8月16日からの12日間で、アフガニスタンの首都カブールからドイツ人、アフガン人ら45カ国の民間人5347人を救出した。だが、まだ多数のアフガン人協力者と家族が取り残されており、メルケル政権の判断ミスと批判が高まっている。
ドイツ政府にとってタリバンの電撃的なカブール制圧は、寝耳に水だった。同国の日刊紙『南ドイツ新聞』の8月16日付電子版によると、マース外相は「我々はアフガン情勢に関する判断を完全に誤った。連邦政府、同盟国、諜報(ちょうほう)機関は、このような事態を想定していなかった。弁解の余地は全くない」と述べ、判断ミスを認めた。政府は諜報機関の情報に基づき、カブール陥落は早くても9月末と予想していた。
ドイツの保守系日刊紙『フランクフルター・アルゲマイネ』は8月26日付紙面で、メルケル首相の連邦議会での演説を「アフガン情勢に楽観的であり過ぎた。政府軍が、タリバンへの抵抗をこれほど簡単にやめるとは思わなかった」と引用した。
現在ドイツの議論の焦点は、アフガン人協力者と家族の運命だ。ドイツ連邦軍は2001年から20年間、米仏英とともにアフガニスタンに駐留してタリバンと戦ったが、この間に多数のアフガン人が通訳や情報提供者として軍や大使館に協力した。タリバンが政権を掌握した今、彼らは逮捕されたり処刑されたりする危険がある。
ドイツ公共放送連盟(ARD)のニュース番組「ターゲスシャウ」は8月24日付ウェブサイトで「アフガニスタン現地協力者支援ネットワークのグロティアン代表は、『ドイツのために働いたアフ…
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週刊エコノミスト
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